AP通信—中途半端日記—

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第54回広島麻酔医学会

December 9th, 2007

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第54回広島麻酔医学会に呼んでいただいて薬物動態に関するお話をしてきた.幹事がSanuki先生でプレゼンテーションに関する本も書かれているような方だから見る目が厳しい.まず,講演の依頼のときに”見本となるプレゼンを”と注文をつけられた.分野的には,自分としてはもっとも得意な分野なので内容はそこそこ話せるが,さてどんなプレゼンをすれば期待に応えることになるのか悩ましい.

そうこうするうちに,プログラムと抄録が発表された.なんと,会長(広島大学 河本教授)講演のタイトルが”学会発表のためのプレゼンテーション技術”だ.これはまずい,いやな汗をかく.で,私としては珍しく3日前ほどにプレゼンを完成して,リハーサルのようなことを繰り返した.抄録の内容として,時間厳守は最低限のマナーと書かれており,自分の講演の割り当て時間(1時間)の割り振りを決めて,1時間に収まるように再構成して,各スライドには残り時間が表示されるように書き込んだ.Keynoteでは,プロジェクターに映す聴衆向けのプレゼントは別にスピーカー用の画面設定ができるので,こちらにタイマーとこの残り時間,さらに話すときのキーポイントを列挙した.

当日は,医学会の最初から出席して教授のご講演を拝聴した.聴衆が広島大学の麻酔蘇生学の,いわゆる”身内”だからかなり具体的な指導である.時間厳守から始まって,一枚のスライドの行数は7行以下にしなさい(Crossの法則というらしい)とか,話し言葉のスピード(6分の発表時間なら2600文字だが,2割ほど読み原稿より余分な言葉が増えるので,2割減として2200時前後が適当である)などなど.印象的だったのは,敬語の正しい使い方をマスターしなさい,という点で,自分の言葉遣いがめちゃくちゃなのが分かった.さすがに30分の講演予定時間ぴったりに終わられていた.

続いてのセッションは,各病院からの報告だ.ビデオセッションで各病院が6分間のプロモーションビデオを作成してきていて,その上映だ.そのまま医局員勧誘のアイテムにも使えるというすごい企画だ.これは例年は無かったらしく,今年からの企画だそうだ.どちらの病院も麻酔だけではなく集中治療,ペインクリニック,救急医療とこなしておられてactivityが高い.また,各病院感の特色も明確になっていて,小児症例の多い病院,心臓手術の多い病院,整形外科手術の多い病院などがあるようだ.その中でも,動物実験施設まで持つという呉医療センターと,研究費を別枠で持つという呉労災病院の存在はたいへんうらやましく思った.

続くセッションは,現在おこなわれている研究の報告で,広島大学ですからトップバッターはMH関連の話題になる.”いかにMHをスクリーニングするか?”という問題に対する遺伝子を使ったアプローチが紹介されていた.リアノジンレセプターの変異は非常に多いらしく,100種類を超えるそうだ.そのうち日本人に見つかっているものを培養細胞を用いて機能解析をしていこうという計画らしい.これがうまくいくと従来の”MH疑い患者”に対して筋生検をしなくても遺伝子的にMHなのか違うのかが診断できると期待される.なるほど.その他,先にあげた大学以外の2施設からも進行中の研究の報告があった.臨床に忙しい中で,さらに研究もおこなっていくパワーがまぶしい.

盛りだくさんであるが,その次のセッションは,スキルセミナーとして語学の達人による語学習得方法のアドバイスだ.黒川先生は英語の学習法法を”日本人は,開き直ってJapanese Englishで押し通せ”という趣旨で,具体的な学習方法をあげていた.私もイギリスで臨床するにあたってIELTSという語学試験を受けた.これはReading, writing, listening, speakingに分かれているが,一番難しいのはReadingだ(日本人は,readingなら何とかと思っている人が多いが).尋常な分量ではない.斜め読みする能力が要求されるのだが,これが医学分野ならできるが,他分野の単語はなかなかわからず苦労した覚えがある.もうひとかた佐伯先生が多国語の勉強方法というのを講演された.佐伯先生は数カ国語を自由に操り,その他にも片言で話せる言語がいくつもあるらしい.外国人のhome stayを積極的にうけいれているという.日本人は外国人というとまず英語をしゃべるアメリカ人を思い浮かべるが,最も多いのは韓国人で(ただし,ほとんどの比とは日本語に堪能),言葉が通じなくてもっとも苦労する機会が多いのが中国人というデータを示されていた.まず,マスターするなら中国語ということだ.

そして,自分の出番となった.内容的には,いろんなところで書いたり話したりしていることだが,Flashを用いた動画を多く入れるようになってビジュアル的にわかりやすくなっている(と,自分では思っている).時間厳守で,早口にならず,聴衆の方をできるだけ向いて,”あー”とか”えー”といった間投詞を使わない.敬語を正しく使って,と心がけてはみたものの,時間を合わせようと早口になり,敬語はめちゃくちゃになったが,映像がカバーしてくれただろうか?終わってからの質問は,多くが”どうやってあのようなプレゼンを作るのか?”という方が多く,内容はどうだったのか気になるものの,まずまずのプレゼンはできたのだろうか?

ほんとうに話言葉はいけていなかった.”まず,という順番で説明させていただきます”というように丁寧語ではなく謙譲語から入ってしまい,薬の説明に来ているMRさんみたいな調子だ.しかも,途中から謙譲語がどう使ったらいいか分からなくなり,何度も止まっている.これはいけません.入り方に失敗するとずるずるといってしまう悪い癖だ.ま,こんご注意していきますので今回は許してください.

5 Comments »

  1. Kenji Uehara says

    広島市民病院麻酔科の上原と申します。先日の広島麻酔医学会の,先生のご講演を聴かせて頂きました。大変分かりやすく,プレゼン以上に内容はとても充実しており感銘致しました。ホームページで分布容量とクリアランスで薬を分類する話は聴いておりましたが,更に具体的に説明され非常に理解できました。3コンパートメントの説明で,3つの指数曲線の和が時間の経過でかわる様を,コンパートメント間の薬の移動の動画で表わされるくだりは目から鱗でした。LineSimやAwake craniotomy,戦前の手術など貴重な映像もあり,大変有意義な時間を過ごせ感謝しております。ありがとうございました。

    December 10th, 2007 | #

  2. Tsubokawa says

    上原先生,どうもありがとうございます.分かっている人には簡単すぎる内容ではと心配していました.ぜひ,改良点もご指摘ください.

    December 10th, 2007 | #

  3. msanuki says

    幹事のsanukiです。坪川先生、大変よいお話をありがとうございました。内容は、これまで聞いた先生の話の中で最もよく練られていて、プレゼンもすばらしかったです。私以外の参加者はとても感動していました。一般people(パンピーというらしい)にも、よくわかったとの評判でした(当科の若者談)。

    December 11th, 2007 | #

  4. msanuki says

    sanukiは、本論の構成と話のわかりやすさにも感心しましたが、休憩として使用した昭和初期の手術風景の動画に感動しました。貴重な資料ですね。あの時代に動画で保存していたことにも感動をおぼえました。それを、多くの費用をかけて保存した金沢大学の同門会もすばらしいと感じました。動く画像は、プレゼンにはインパクトがありますね。坪川先生をお呼びして、大正解でした。ありがとうございました。

    December 11th, 2007 | #

  5. Tsubokawa says

    讃岐先生にOKをいただければ,言うことはありません.こちらこそ部外者なのに,関連各病院の現状など(うらやましい限りですが)を見せていただき,勉強になりました.特に次世代の獲得,育成に関する情熱の高さ,共通の認識の強さには強い印象を受けました.

    December 11th, 2007 | #

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