最古の人類とレミフェンタニル
私が高校のころの教科書には猿人が最古の人類で,アウストラロピテクスは100万年前に南アフリカに出現したとかかれていた.その後,アウストラロピテクスの誕生はどんどんさかのぼり,有名なルーシーは,約350万年前の化石である.さて,現在では最古の人類化石は中央アフリカチャドで発見されたトゥーマイとされていて,なんと700万年前である.最近では,人類の発祥には,大地溝帯の急激な地殻変動による環境圧力が重要な役割を果たしたと考えられている.つまり,外部からの圧力がないと進化できないということだ.この生きるか死ぬかの圧力が,適応力を最大限に発揮させ,優れた形質を生存させることで進化していくのである.逆に言うと,おおきな外圧がないと進化しないのである.人間が,いくら”背が高くなりたい”と考えても身長は伸びない.身長がないと食物が手に入らない環境があると身長が伸びるというわけだ.
少々,強引だがこれを麻酔に当てはめてみる.今の麻酔方法はそれなりに完成されている.つまり,”麻酔をよりよいものにしてほしい”という強い外圧がない状態である.ここで,レミフェンタニルの登場となる.繰りかえすが,ここには,全く外圧はない.外科医が”ぜひレミフェンタニルを使ってほしい”とは行って来ないし,患者さんも”私の麻酔はレミフェンタニルで”とはリクエストしない.レミフェンタニル待望論は,麻酔科医(私も含めて)が作り上げたものである.回りくどい手順になるが,レミフェンタニルが普及して行くには”レミフェンタニルを使ってほしい”という外圧が必要だ.そのためには,レミフェンタニル麻酔と従来の麻酔の差が目に見えるものになる必要がある.この差の実感が患者と外科医に伝わって,はじめて外圧が形成される.麻酔を進化させるために,進化のトリガーとなる外圧を麻酔科医自身が形成する必要があるというのは,無理があるような気もする.と,ここまで書いておきながらも,もうすぐ使えるのが楽しみだ(自己矛盾!).トゥーマイは,笑っているだろう.

ちょっと,いい足りなかった部分として,先のたとえの身長の話に戻ると,”背が高くなりたい”という眼房は内圧であって,こちらは進化の原動力とはならない.レミフェンタニルの導入は,”内圧”でしかない.
February 7th, 2007 | #
Tsubokawa先生
いつもこのブログで勉強させていただいています。前回書き込みができなかったので、改めてテストを兼ねて書き込みをさせていただきます。
よりよい麻酔管理をしたいという内圧をもつ研修医に、先生のような上司がレミフェンタを必ず使いなさいという外圧をかけたらどうでしょう?高いところの実の味(レミの良さ?)を知った研修医は、きっと関連病院などに出ても使ってくれて標準になっていくのでは?
February 7th, 2007 | #
硬膜外麻酔が広く広がったきっかけは昭和天皇の腹部手術で,東大麻酔科チームは硬膜外麻酔併用全身麻酔で管理し,その後の普及に貢献しました.当時は患者さんへの説明に”天皇陛下と同じ方法”という言い方をしたのを覚えています.硬膜外麻酔に関しては,われわれの地域では外科側からの要望がかなり強くありました.プロポフォールのときも,脳外科医や整形外科医など神経外科医はこの薬剤に大きな期待を寄せていましたし,こちらも先行する海外の情報がプラスに働いたように思います.今回の,レミフェンタニルに関しては,そのような動きはないようですし,麻酔科医側の動きも鈍いような気がしませんか?もちろん,私はどんどん使っていきます.ま,拡めていくかどうかは使い心地がわかってからですね.
February 7th, 2007 | #