AP通信—中途半端日記—

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偶発性低体温症

January 25th, 2007

win7.jpgnewsとしては知らなかったが,こんな話があったんですね.

六甲山で遭難した打越三敬さん(兵庫県西宮市職員/35歳男性)が焼き肉のタレだけで約3週間を生き延び、奇跡的な生還を果たしたということが報道された。

具体的には、打越さんは2006年10月7日に六甲山頂で同僚ら15人とバーベキューをしており、バーベキューを終えて下山する頃、六甲山上駅で「切符をなくしたが、お金がないから歩いて下りる」と同僚らに別れを告げ徒歩で下山した。下山途中で道に迷い足を滑らせ転落、骨盤を骨折したうえ足に凍傷を負い身動きできない状態になったという。たまたま持ち合わせていたバーベキューに使用した焼き肉のタレを命綱とし、約3週間を生き延び、奇跡的な生還を果たした。遭難救出直後は呼びかけにも応じられないほど衰弱しきっており、命綱となった焼き肉のタレは容器の半分程度だったとのこと。ところが、「命綱の焼き肉のタレ」は遭難から1回ほどしか口にしていないという。どういうことかというと、“命綱となった焼き肉のタレ”は、打越さんの家族が報道陣に伝えたことであり、実際には、“1回ほどしか口にしていない”というのが打越さん本人から伝えられた。

では、遭難中の約3週間はどうしていたかというと、打越さんいわく、遭難してから意識があったのは2日程度でそれ以降は覚えていないという。気がついたら病院のベッドの上だったとのことだ。発見されたのは10/31だそうだ.神戸市立中央市民病院に収容時の体温は21度.その後一時心室細動に陥ったが,蘇生し,完全に機能を回復したそうだ.

 にわかには信じがたいが,やらせで体温21度に挑戦する人はいないし,そうなんでしょうね.

今日は,Hanaちゃんの体重を測りました.かごの重量を引くと365g!なんと,昨日より15gも減っています.遊ばせすぎかな?

 この話題に関連してこんな話も載っていた.

インド人のヨガ行者の話

これは,これですごいが証拠はなし.

冬眠かと,騒がれているが,恒温動物の冬眠はコウモリ,ヤマネ,シマリスなど小動物がおこなうもので,クマだとかがおこなうのは,真の冬眠ではなく睡眠に近いものらしい(冬眠中も穴の中で活動していて体温低下も数度程度).こちらは,上野動物園がはじめてのクマの人工的な冬眠誘導に成功したとかで話題になっている.冬眠制御タンパクとしてHP-20-25-27-55があり,これらが発現するか,抑制されるかで冬眠する,しないが決まるらしい.主としてカルシウムの制御をおこなうタンパク群である.人間にも偽遺伝子として存在しているのだろうか,先にあげた打越さんでは,何らかがトリガーとなりこの遺伝子が発現した?調べて欲しい.

心臓の手術で,24度とかの超低体温,循環停止を実施することはあり,その回復過程はなかなかにドラマティックだが,不整脈はでるは,カテコラミンは効かないし,出血は制御できないは,感染には弱いわで大変だ.スイスからの論文で,クレバスに落ちたり,雪崩に巻き込まれてcardiac arrest(asystole 5名, vf 6名,瞳孔は散大している)を人工心肺を使って蘇生し,8名が社会復帰したという物がある.こちらの心停止時間は2から5時間と短いが,体温は同程度(20から25度くらい).別な論文で24時間以上クレバスに落ちていて,cardiac arrest状態で病院に運ばれたが6名中5名が社会復帰したというものもある.やはり,みんなあっためててみましょうということか.

今日は,まだ話が続く.以前,薬理学の実験をしていたときに,全く薬物を使わないでカニュレーションする方法としてラットを冷凍庫に入れて低体温にするのを試みたことがある.-20℃のフリーザーで15分ほど放置すると低体温ラットになり,20分ほど動かない(永遠に動かないのも結構いる).普段は200以上ある心拍数が,10とか20とか言う数字になる.このままなら復温すると元気になったが,心室細動を起こしたやつは蘇生しなかった.今思えば,もう少し長くwarmingと心臓マッサージを続ければよかったかな?

koriuo1.jpg恒温動物の低体温は,こんなものだが,変温動物には強者がいる.南極の魚たちは体温が0度以下でも活動する(南極の冬でも釣れるらしい.ただし海上に出た瞬間に凍る).血液中にanti freeze proteinというものがあって臓器の凍結が起こらないようになっている.すごいのはコオリウオという魚(写真)で,この魚には赤血球がない(赤血球は凍ると割れて高カリウム血症などの生命の危機をもたらす).すべての酸素は溶存酸素(血液に溶解する酸素であり,ヘモグロビンに結びついていないもの,通常のヒトでは赤血球に結びついているものの1/20くらい)だけで 生存している.低温のため気体の溶解度が高いからなせる技だ.ちなみに,スーパーで売られている銀ムツという魚は,このコオリウオもしくはその近縁種である(赤血球を探してみよう).

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