エスラックス小話(3):筋注で使う
筋注で使うことのできる筋弛緩薬としては,サクシニコルコリンが頭に浮かぶ.以前,大阪でこのサクシニコルコリンを使って,犬の訓練士が顧客など5人を殺害した大阪愛犬家殺人事件というのがあった.この訓練士は,獣医さんが子犬をサクシニコルコリンを使って安楽死させるのを見て,使えると思ったそうだ.
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筋弛緩薬は,筋肉を弛緩させる薬ですから注射すると筋肉は動かなくなり,呼吸もできなくなります.人工呼吸しないと死に至ります.見た目は,ぐったりしていますが,麻酔薬のような意識をなくす効果はありませんから,ぐったりして見えても身体を動かすことができないだけで意識はずっと保たれています.ですから,決して安楽死ではありません.
ベクロニウムを筋注で試みられたことがあるが,オンセットが遅すぎて実用的ではないようだ.では,ロクロニウムでは?Reynoldsらの報告(Anesthsiology 85:(2) 231-9 1996)では,幼児なら1mg/kg, 小児では1.8mg/kgを三角筋に筋注すると3分以内に挿管できる状態になるそうだ.この報告には,Kaplanらが反論を出して(Anesthesiology 91(3) 633-8 1999),3分ではとても無理で,4分待つと約70%が挿管可能となるが,98%ブロックに達する時間は7分から8分だと報告した.これも,試したことがないのでわからないが,そんなことより確実に静脈路を確保した方がよいようだ.万が一,筋注が必要な場合でも3分以上必要である.
さて,一般に筋注可能な薬剤は,筋注しても筋組織にダメージがおきないようにpHや浸透圧が調節されている.静脈内投与の場合はそのような調製がなされていない.したがって筋注用は静注してもよりが,静注用を筋注する場合には筋肉へのダメージを与える可能性を考慮しなくてはならない.