痛風だって捨てたモンじゃない,と思いたい
3,4月の年度替わりと,12,1月の年末年始は宴会が続く.すると左足のくるぶしが腫れてきてしくしくと痛む.”また,やっちゃった!”という感じだ.最初になったときは,何がおきたのかわからなかった.朝起きたら足が腫れていて痛い.とくに覚えもない.”はて,寝ている間に捻挫?ベッドから落ちたっけ?はたまた,もしかして寝ている間に嫁さんに関節技かけられた?なんか悪いことしたかな?”などと,悩む.歩けないほどの痛みでもないし,痛風に典型的な親指の付け根というわけでもなく,痛風とは思わずに整形外来へ.私,”なんか,寝ている間に捻挫したみたいなんだけれど”,整形外科医”なに寝ぼけたようなこと言ってるんですか,痛風ですよ,痛風!”といわれた.頭の中では”痛風,つうふう,ツウフウ,Gout,おれが...”という感じで,ちょっとがっくりきた.ステロイドの関節注射が劇的に効いて,すぐに楽になった.血液検査の尿酸値はすでに低い.それ以来,宴会が続くときは気をつけるようになった.
で,理由があってこの本を読み返していたら,痛風に関する記述にあたった.まず,ヒトはサルから進化するに当たって尿酸オキシゲナーゼという酵素を失い,尿酸を代謝することができなくなった.その結果,動物の中で尿酸値が最も高い.次に,IQの高い人には尿酸値の高い人が多い(逆はいえませんよ,尿酸値が高いとIQが高いわけではない).これらから,”尿酸は知能と関係しているのではないか”という説が出たそうだ.ここまで,読むと痛風も悪くない気がしてくるから不思議.もともと”贅沢病”とよばれる病気でもあるし...
痛風の合併症としては,なんと言っても虚血性心疾患のリスクファクターであり,その面ではおそろしい.しかし,尿酸は,抗酸化物質,ラディカルスカベンジャーとして働いている.とくに,ischemic preconditioningでは,細胞内の尿酸が増えて抗酸化作用を発揮して再灌流傷害から細胞を守るという研究もある.特に中枢神経系の細胞保護では注目の物質だ.ということは,尿酸値が高いと脳梗塞になっても軽くすむ?実際にそういう報告もなされている(残念なことに,尿酸が高いとstrokeによる死亡率が上がるという報告もあり結論が出ていない,出血性と梗塞性では尿酸値が低いと出血性梗塞の時の死亡率があがるとか?).ま,尿酸値が低いのもよくないらしいので,大手を振って現在の食生活を維持だ!
さて,この本は,非常に面白く示唆に富む.2004年の出版で続編も出ているが,こんな面白い講義を受けられとは東大の学生がうらやましい.今年の9月1,2日に金沢で開かれる第5回日本麻酔科学会東海・北陸支部学術集会では,この本の著者石浦先生に,教育講演をお願いしたところ,快諾を得た.今から石浦先生のご講演が楽しみだ.(一般のかた向けには9/2に市民公開講座”生命の不思議”を計画していてこの中でも,石浦先生の講演があります).
